【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

『だめだっ』

 きぃ子ちゃんが語気を荒げる。

『それでは何のために三人の命をきみに注いだのか。すべてが水の泡になってしまうんだぞ!』
「でも、僕はもう嫌なんだ。誰かが僕のために死ぬのも。何より、寂しい思いをするのも」
『しかし……』
『あのう、ちょっといいかな』

 リュックの中の口裂け女さん──瞳さんが僕たちの間に割って入った。

『あたしの命、使いなよ』
「えっ」

 予想外の言葉に、僕もきぃ子ちゃんも声を上げる。

『あたし、長くお化けやってるけどサ、こんなに楽しかったこと今まで無かったんだよ』
「瞳さん……」

 僕は言葉が詰まった。

『うん、はなこのもー、つかっていいよー』
『ぼくのでよければ』
『力に、なりたいな』

 みんな、口々に協力を申し出てくれた。
 命を賭けるというのに。

 まるで放課後の「遊び」に参加するみたいな、そんな明るいノリで。

「……みんな……ありがとう」

 涙が、出てきた。

『ふふ』

 瞳さんが笑う。

『ほら、これでもう寂しくないでしょ。だから、ね。泣かないで』

 エレベーターはお姉ちゃんの眠る五階に着いた。

「さあ、行こう」

 僕は一歩、エレベーターから踏み出した。