きぃ子ちゃんは、はじめ戸惑っているようだった。
でも、僕は粘った。
「教えて。全部。効果とやり方を」
『……わかった』
彼女はひとつづつ、時間をかけて丁寧に教えてくれた。
僕はその説明を、黙って聞いていた。
そして。
「待って」
二十四個目に教えてくれた術が、とても気になった。
「その、『狐の窓』について、詳しく教えてくれない?」
『狐の窓とは、妖怪や異界のことを垣間見るための術のことだよ。手をこんな風に組んでね』
きぃ子ちゃんは写真の中で、見たことのない風に指を組んでみせた。
『この隙間から見ると、この世の理から外れたものを見ることができる、そういう術だよ。……それがどうかしたかい?』
この世の理から外れたもの──そうだ!
「例えば、誰かの心の中を覗くことは、できる?」
『うーん。そういう使い方をしたことがないからね、何とも言えない』
「でも。試してみる価値は。あるよね」
『あお君。きみはいったい何を考えて……』
僕はにっこり笑って答えた。
「宝探しだよ。きぃ子ちゃん。お姉ちゃんともやったんでしょ? 僕ともやろう。それが最後の遊び。ね? 一緒にやろう」
◇
僕はリュックにみんなを詰めて、自分の部屋を飛び出した。
玄関を出て、自分の自転車にまたがった。そしてゆるい坂道をこぎ出した。
『どこに行くんだい』
きぃ子ちゃんがリュックの中から尋ねてくる。
「下町の総合病院! お姉ちゃんのところ!」
『あさぎの? なんでまた』
きぃ子ちゃんは驚いてるんだろうけれど、僕はかまわない。
「いいからいいから! 宝探し、楽しみだよ!」
体に無限の勇気が湧くのを感じる。
近い言葉で表すなら、そう。
──生きている、だった。
「あはははは、たーのしー!」
僕がひときわ大きな声で笑う。息をはあはあ振りまいて。
この上り坂の向こうに、総合病院がある。
僕の大好きだったお姉ちゃんが眠る、病院が。
きぃ子ちゃんの地獄を終わらせる、希望が。
希望があるんだ!
◇
でも、僕は粘った。
「教えて。全部。効果とやり方を」
『……わかった』
彼女はひとつづつ、時間をかけて丁寧に教えてくれた。
僕はその説明を、黙って聞いていた。
そして。
「待って」
二十四個目に教えてくれた術が、とても気になった。
「その、『狐の窓』について、詳しく教えてくれない?」
『狐の窓とは、妖怪や異界のことを垣間見るための術のことだよ。手をこんな風に組んでね』
きぃ子ちゃんは写真の中で、見たことのない風に指を組んでみせた。
『この隙間から見ると、この世の理から外れたものを見ることができる、そういう術だよ。……それがどうかしたかい?』
この世の理から外れたもの──そうだ!
「例えば、誰かの心の中を覗くことは、できる?」
『うーん。そういう使い方をしたことがないからね、何とも言えない』
「でも。試してみる価値は。あるよね」
『あお君。きみはいったい何を考えて……』
僕はにっこり笑って答えた。
「宝探しだよ。きぃ子ちゃん。お姉ちゃんともやったんでしょ? 僕ともやろう。それが最後の遊び。ね? 一緒にやろう」
◇
僕はリュックにみんなを詰めて、自分の部屋を飛び出した。
玄関を出て、自分の自転車にまたがった。そしてゆるい坂道をこぎ出した。
『どこに行くんだい』
きぃ子ちゃんがリュックの中から尋ねてくる。
「下町の総合病院! お姉ちゃんのところ!」
『あさぎの? なんでまた』
きぃ子ちゃんは驚いてるんだろうけれど、僕はかまわない。
「いいからいいから! 宝探し、楽しみだよ!」
体に無限の勇気が湧くのを感じる。
近い言葉で表すなら、そう。
──生きている、だった。
「あはははは、たーのしー!」
僕がひときわ大きな声で笑う。息をはあはあ振りまいて。
この上り坂の向こうに、総合病院がある。
僕の大好きだったお姉ちゃんが眠る、病院が。
きぃ子ちゃんの地獄を終わらせる、希望が。
希望があるんだ!
◇

