結論から言うと。
あさぎは、あの日の術のことを忘れてなどいなかった。
それがわたしにとっての最大の誤算だった。
◇
今からちょうど九十日前のことだよ。令和六年。三回目の、五月十七日。
たいようがいない二年間は地獄だった。
胸に空いた穴に温度のない冷たい風が透き通って、つらくてつらくてたまらなかった。
それよりなにより。
──あさぎとあお君。幸せそうなきみたちを見ているのが本当に苦痛でね。
自分で命を選んでおいて、申し訳ない。
本当に勝手だとは思うけれど。
でも。
わたしはもう、この地獄から逃れることしか考えられなくなっていた。
わたしはもう、終わりにしたかったんだ。
◇
事故が起きたのが午後四時半。
その時間になる前に、術を結びなおすしかない。
時間がなかった。
また嘘の陣取りゲームをして、あさぎを欺いて、わたしの魂を贄にして、あさぎをせめて一刻も早く笑顔にして。
そしてわたしの魂はあお君として生き続ける。
計画は順調。
あとは和紙に点を書くだけ。
一度始めてしまえさえすれば、止まることはない。
わたしはじゃんけんであさぎが出す手が読める。
だから今回も、「あさぎに勝つことはできずに」勝負は終わる。
そのはずだった。
「まるばつゲームをしましょ」
その時、あさぎが唐突に勝負の変更を願い出た。
◇
あさぎは、あの日の術のことを忘れてなどいなかった。
それがわたしにとっての最大の誤算だった。
◇
今からちょうど九十日前のことだよ。令和六年。三回目の、五月十七日。
たいようがいない二年間は地獄だった。
胸に空いた穴に温度のない冷たい風が透き通って、つらくてつらくてたまらなかった。
それよりなにより。
──あさぎとあお君。幸せそうなきみたちを見ているのが本当に苦痛でね。
自分で命を選んでおいて、申し訳ない。
本当に勝手だとは思うけれど。
でも。
わたしはもう、この地獄から逃れることしか考えられなくなっていた。
わたしはもう、終わりにしたかったんだ。
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事故が起きたのが午後四時半。
その時間になる前に、術を結びなおすしかない。
時間がなかった。
また嘘の陣取りゲームをして、あさぎを欺いて、わたしの魂を贄にして、あさぎをせめて一刻も早く笑顔にして。
そしてわたしの魂はあお君として生き続ける。
計画は順調。
あとは和紙に点を書くだけ。
一度始めてしまえさえすれば、止まることはない。
わたしはじゃんけんであさぎが出す手が読める。
だから今回も、「あさぎに勝つことはできずに」勝負は終わる。
そのはずだった。
「まるばつゲームをしましょ」
その時、あさぎが唐突に勝負の変更を願い出た。
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