くるり。きぃ子ちゃんは笑顔のままこちらを向いた。そして、その写真を優しく僕に差し出した。
「はい。おともだち。一人追加ね」
そして、制服の砂を払いながら、後ろを向いた。
「ほら、これでもう寂しくないでしょ。だから、ね。泣かないで」
「……泣いてなんかいないよ、僕……」
でも、いつも僕のこの指摘には答えてくれない。
あの頃から変わらないなあ。
きぃ子ちゃんに初めて出会ったのは、たしか■■から五日目の事だった。
ん?
なにから、五日目だったっけ。
えーっと、えーっと。
あ、きぃ子ちゃんが僕を置いて行ってしまう。
「待ってよー」
「ほら、おいてくよ」
逢魔が時の秘密の遊び。
たくさん増えてゆく僕だけのお化けのお友達。
不思議なお姉さん。
これは僕と、不思議なお姉さんと、お化けたちとの、不思議なひと夏の記憶。
◇
ひとつ目のお話、どうだったかな。
え? 口裂け女さんが可哀そう?
はは。そうかもね。
きぃ子ちゃんは「勝負」に関しては容赦がないから。
それより、ね。
今聞かせたお話には、一部不完全なところがあったと思う。
とても大切な記憶を、僕はなくしているんだ。
でも、今だから言えることなんだけれど。
生きているうちにね、どうしても忘れてしまうことだって、あるんだよ。
人は傷ついて、忘れながら生きていく生き物だから。
さあ、次のお話に移ろう。
今度のお友達が、待っているよ。
「はい。おともだち。一人追加ね」
そして、制服の砂を払いながら、後ろを向いた。
「ほら、これでもう寂しくないでしょ。だから、ね。泣かないで」
「……泣いてなんかいないよ、僕……」
でも、いつも僕のこの指摘には答えてくれない。
あの頃から変わらないなあ。
きぃ子ちゃんに初めて出会ったのは、たしか■■から五日目の事だった。
ん?
なにから、五日目だったっけ。
えーっと、えーっと。
あ、きぃ子ちゃんが僕を置いて行ってしまう。
「待ってよー」
「ほら、おいてくよ」
逢魔が時の秘密の遊び。
たくさん増えてゆく僕だけのお化けのお友達。
不思議なお姉さん。
これは僕と、不思議なお姉さんと、お化けたちとの、不思議なひと夏の記憶。
◇
ひとつ目のお話、どうだったかな。
え? 口裂け女さんが可哀そう?
はは。そうかもね。
きぃ子ちゃんは「勝負」に関しては容赦がないから。
それより、ね。
今聞かせたお話には、一部不完全なところがあったと思う。
とても大切な記憶を、僕はなくしているんだ。
でも、今だから言えることなんだけれど。
生きているうちにね、どうしても忘れてしまうことだって、あるんだよ。
人は傷ついて、忘れながら生きていく生き物だから。
さあ、次のお話に移ろう。
今度のお友達が、待っているよ。

