【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 お父さんは実直でまじめで頑固(がんこ)で、そしてとても優しかった。
 釣り好きとしても、いい気になったんだと思う。

 覚えてないと思うけど、きみはたいようととても仲が良かった。
 息子の大の親友を喜ばせたいと思ったとしても、それも無理はなかった。

「おお、あお君も、釣りに興味があるんかい」
「うん!」

 お父さんが釣りに連れて行ってくれないから。
 きみはそう言っていたよ。

「じゃあ、今度おじさんといくか!」
「えっ、いいの? やった!」
「じゃあ、おれも行く!」

 小学校三年生の男の子たちははしゃいだ。でも、わたしは嫌な予感がした。

「お父さん。その日は、やめたほうがいいよ」
「なんだ、きり子は心配性だな」

 忠告はしたんだが。
 はしゃぎまわる子供たちの前で、お父さんはいい気になっていた。

 結局、私の言葉はその耳に届いてはくれなかった。



 既読:今度の十七日、お父さんがたいようとあお君連れて、いつもの港で釣りがしたいって。

 あさぎ:いいんじゃない? 安西さんがいるなら安心だよ。

 既読:それもそうなんだけど……。

 あさぎ:……嫌な予感がする?

 既読:わかるかい。

 あさぎ:安西さんがわざわざ言ってくるとき、そんなことが多いから。

 既読:はは。ばれてる。

 あさぎ:私も、いけばいい?

 既読:すまない。お願いしたい。

 あさぎ:りょーかい。まかせてね。