【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 おかしい。
 ここは物置のはずだ。
 ほこりっぽくてかび臭くて。

 でも、違った。

 目の前にはきれいに片づけがされた部屋がある。
 オーソドックスな見た目の学習机に、白くてかわいいタンス。
 カーペットはピンクで、おしゃれな姿見(すがたみ)が立っている。
 ベッドは整えられていて、しわひとつない。

『おめでとう、きみ。連想ゲームはきみの勝ちだ』

 机にはさっきまで誰かがここで勉強していたみたいに開かれた参考書。
 ……と、女の子二人が写っている写真立てがある。

 茶髪のポニーテールのお姉さんと……長い腰までの黒髪のお姉さんが写っている。

『初めまして、あお君。わたしの名前は安西きり子。そして』

 インスタント写真のきぃ子ちゃんが告げた。

『隣に写っているのが、わたしの最高の親友で、きみのお姉さん。月森あさぎだよ』

 そういうと、きぃ子ちゃんは、話を始めた。
 僕の知らない、お姉ちゃんの話を。



 裏切られたと泣く前に。
 裏切られたと怒る前に。
 裏切られたと傷つく前に。

 出来ることって、なんだろう。
 どんなことが、できるだろう。

 どうしてそうなったのか。
 どんな事情があってそうしたのか。
 その時にどんな思いをしていたのか。

 裏切った、その相手のお話を、聞いてあげることはできるかな。
 そしたら気づくことが出来るかもしれない。

 自分が本当は、どれほど愛されていたのかを、ね。