月森あお 様。
明日は誕生日だね。
親愛なるきみへ、プレゼントをあげたいと思います。
……。
「……ふっ。うぐっ。うううう……」
僕は布団に包まったまま、昨日の手紙を読む。
涙が、涙が目の奥から奥から溢れて止まらない。
涙をぼろぼろ零しながら、可愛い黄色の便せんを両手で握った。
「それ」はなんとも軽い音を立てて、なんなくつぶれた。
「ううう、ひっく……ああああ……ひっく」
全部、夢だったらよかったのに。
あの日病院で出会ってから、昨日まで。
全部が夢だったら、どんなに、どんなに。
『きみ』
枕元のゴミ箱から、声がする。
僕は、その声を知っている。
大好きな、大好きなお姉さんの声だ。
昨日まで、毎日一緒に遊んだ女の子の声だ。
もういらないから、「他の」といっしょに全部ゴミ箱に捨てたんだ。
『きみ、ねえ、きみ。お話、しよう』
「いやだ」
一緒に居てあげる。
そう言った。
だから一緒に居てくれると信じていた。
ずっとそばにいてあげる。
そう言った。
だから僕のそばにいてくれると信じていた。
信じていいよ。
そう言った。
だからこの人なら決して僕を裏切らない。
そう、信じていた。
でも、違った。
──大好きだったお姉さんはお化けだった。ヒトじゃなかった。
一緒に遊ぼう、と言った。
でも今は、写真の中に入って出てこられない。
これでもう寂しくないでしょ、と言った。
でも今は、寂しくて寂しくて心臓がよじ切れそうだ。
だからもう泣かないで、と言った。
でも今は、世界でたったひとりになってしまったかのようで、涙が止まらない。
全部嘘だった。
きぃ子ちゃんと過ごした日々が。
遊んだ思い出が。
抱いた恋心が。
全部。
全部裏切られた。
明日は誕生日だね。
親愛なるきみへ、プレゼントをあげたいと思います。
……。
「……ふっ。うぐっ。うううう……」
僕は布団に包まったまま、昨日の手紙を読む。
涙が、涙が目の奥から奥から溢れて止まらない。
涙をぼろぼろ零しながら、可愛い黄色の便せんを両手で握った。
「それ」はなんとも軽い音を立てて、なんなくつぶれた。
「ううう、ひっく……ああああ……ひっく」
全部、夢だったらよかったのに。
あの日病院で出会ってから、昨日まで。
全部が夢だったら、どんなに、どんなに。
『きみ』
枕元のゴミ箱から、声がする。
僕は、その声を知っている。
大好きな、大好きなお姉さんの声だ。
昨日まで、毎日一緒に遊んだ女の子の声だ。
もういらないから、「他の」といっしょに全部ゴミ箱に捨てたんだ。
『きみ、ねえ、きみ。お話、しよう』
「いやだ」
一緒に居てあげる。
そう言った。
だから一緒に居てくれると信じていた。
ずっとそばにいてあげる。
そう言った。
だから僕のそばにいてくれると信じていた。
信じていいよ。
そう言った。
だからこの人なら決して僕を裏切らない。
そう、信じていた。
でも、違った。
──大好きだったお姉さんはお化けだった。ヒトじゃなかった。
一緒に遊ぼう、と言った。
でも今は、写真の中に入って出てこられない。
これでもう寂しくないでしょ、と言った。
でも今は、寂しくて寂しくて心臓がよじ切れそうだ。
だからもう泣かないで、と言った。
でも今は、世界でたったひとりになってしまったかのようで、涙が止まらない。
全部嘘だった。
きぃ子ちゃんと過ごした日々が。
遊んだ思い出が。
抱いた恋心が。
全部。
全部裏切られた。

