裏切られたと泣く前に。
裏切られたと怒る前に。
裏切られたと傷つく前に。
出来ることって、なんだろう。
どんなことが、できるだろう。
君ならなにが、できるだろう。
◇
二年と九十日目。僕の誕生日。令和六年八月十七日。土曜日。
お昼の十一時半。
エアコンをがんがんかけた部屋は涼しいを通りこして寒い。
お気に入りのカーテンは閉め切っているけれど、東の角部屋にある僕の部屋は、電気を消していても薄明りくらいの明るさ。
それが今の自分の心を映しているかのようで、余計に嫌なんだ。
「あおー、もうお昼よ、いいかげん起きなさい」
部屋の外で、夕べから何も食べない息子を心配するお母さんが呼んでいる。
けれど、僕は布団に包まっている。
起きる気は、ない。
「どうしたのよ、昨日からあんなにしょげちゃって。今日はお誕生日でしょう。ほら、とうもろこし茹でたわよ、一緒にたべましょう」
「ほっといて」
「……あのねえ、ほっとける訳ないでしょ」
「ほっといて!」
お母さんはびっくりする。
まくらを投げたから。
ふすまに当たって、大きな音をたてたから。
はあ。
お母さんはため息を吐くと、階段を下りて行った。
◇
裏切られたと怒る前に。
裏切られたと傷つく前に。
出来ることって、なんだろう。
どんなことが、できるだろう。
君ならなにが、できるだろう。
◇
二年と九十日目。僕の誕生日。令和六年八月十七日。土曜日。
お昼の十一時半。
エアコンをがんがんかけた部屋は涼しいを通りこして寒い。
お気に入りのカーテンは閉め切っているけれど、東の角部屋にある僕の部屋は、電気を消していても薄明りくらいの明るさ。
それが今の自分の心を映しているかのようで、余計に嫌なんだ。
「あおー、もうお昼よ、いいかげん起きなさい」
部屋の外で、夕べから何も食べない息子を心配するお母さんが呼んでいる。
けれど、僕は布団に包まっている。
起きる気は、ない。
「どうしたのよ、昨日からあんなにしょげちゃって。今日はお誕生日でしょう。ほら、とうもろこし茹でたわよ、一緒にたべましょう」
「ほっといて」
「……あのねえ、ほっとける訳ないでしょ」
「ほっといて!」
お母さんはびっくりする。
まくらを投げたから。
ふすまに当たって、大きな音をたてたから。
はあ。
お母さんはため息を吐くと、階段を下りて行った。
◇

