【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 みんなに聞きたいんだけど。
 学校で、幼稚園で、保育園で。
 いつも独りだったクラスメイトは居なかったかな。
 いたと思うんだ。
 どんな社会集団の中にあっても、そこに交わらない人は、必ず一定の人数いるものだから。
 そんな子たちをみて、みんなはどうしたかな。
 仲間はずれにした?
 仲間に入れてあげた?

 私はね。
 お友達になりたいなって、そう思ったよ。

◇

 その子はいつも独(ひと)りだった。
 れんげ組でも、お友達はひとりもいない。

 お遊戯(ゆうぎ)のときも、体操のときも。
 いつも端っこにいて、みんなと一緒には行動しない。

 それが、当たり前になっていた。

 れんげ組の先生も、お友達も、みんな彼女を居ないみたいに扱った。
 私にとっても、それが当たり前だった。

 ある日。みんなで園庭(えんてい)で遊んでいた時のこと。
 先生が集合をかけたけれど、ひとり人数が足りない。

 それでもなぜか、先生も気づいていない様子だった。
 だから私は、「その子」を探すことにした。

 彼女は、園庭のサクラの木の下に居た。
 誰かとしゃべってる。
 私はびっくりした。
 その子の声があんまりにも綺麗で澄んでいたから。

 そして、近づいてみて、もっとびっくりした。
 どうしてかって?

 その子が話していたのは桜の木だったから。

「なにしてるの」
「さくらさんとしょうぶしてた」
「なにの、しょうぶ?」

 彼女はくるりとこっちを向いて、答えた。

「ないしょ……ねえ、きみ。どうしてわたしにはなしかけられたの」
「え?」
「ずっと、けっかい、はってたんだけどな」
「けっかい?」

 私はよくわからない。でも、彼女はひとりで納得した。

「ああ、きみ、へいはんじのこか。どうりで」
「ねえ」

 私はどうしても気になったことを聞いてみた。

「なまえ、なんていうの」
「■■だよ」
「? え?」
「ふふ、おぼえられないでしょ。なまえをとられないように、まじないがかけてあるの」

 私は色々と頭の中で、情報が渋滞を起こしていた。
 でも、私は、彼女とお友達になりたかった。

「じゃあ、なんてよべばいい?」
「……あんざい、でいいよ」

 それが安西さんとの「初めての」出会いだった。

◇