【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 みんなに聞きたいんだけど。
 学校で、幼稚園で、保育園で。
 いつも独りだったクラスメイトは居なかったかな。
 いたと思うんだ。
 どんな社会集団の中にあっても、そこに交わらない人は、必ず一定の人数いるものだから。
 そんな子たちをみて、みんなはどうしたかな。
 仲間はずれにした?
 仲間に入れてあげた?

 私はね。
 お友達になりたいなって、そう思ったよ。



 その子はいつも(ひと)りだった。
 れんげ組でも、お友達はひとりもいない。

 お遊戯(ゆうぎ)のときも、体操のときも。
 いつも端っこにいて、みんなと一緒には行動しない。

 それが、当たり前になっていた。

 れんげ組の先生も、お友達も、みんな彼女を居ないみたいに扱った。
 私にとっても、それが当たり前だった。

 ある日。みんなで園庭(えんてい)で遊んでいた時のこと。
 先生が集合をかけたけれど、ひとり人数が足りない。

 それでもなぜか、先生も気づいていない様子だった。
 だから私は、「その子」を探すことにした。

 彼女は、園庭のサクラの木の下に居た。
 誰かとしゃべってる。
 私はびっくりした。
 その子の声があんまりにも綺麗で澄んでいたから。

 そして、近づいてみて、もっとびっくりした。
 どうしてかって?

 その子が話していたのは桜の木だったから。

「なにしてるの」
「さくらさんとしょうぶしてた」
「なにの、しょうぶ?」

 彼女はくるりとこっちを向いて、答えた。

「ないしょ……ねえ、きみ。どうしてわたしにはなしかけられたの」
「え?」
「ずっと、けっかい、はってたんだけどな」
「けっかい?」

 私はよくわからない。でも、彼女はひとりで納得した。

「ああ、きみ、へいはんじのこか。どうりで」
「ねえ」

 私はどうしても気になったことを聞いてみた。

「なまえ、なんていうの」
「■■だよ」
「? え?」
「ふふ、おぼえられないでしょ。なまえをとられないように、まじないがかけてあるの」

 私は色々と頭の中で、情報が渋滞を起こしていた。
 でも、私は、彼女とお友達になりたかった。

「じゃあ、なんてよべばいい?」
「……あんざい、でいいよ」

 それが安西さんとの「初めての」出会いだった。