【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 次に、安西さんも同じものを出した。材料が多くて机が埋まりそうだったので、後ふたつ、机を追加でくっつけた。

「ちょっと待っててね」

 そういうと安西さんは術の準備を始めた。

 まず、ふたりの服を机の上に広げて重ねた。
 次いで、イチゴとハコベラの葉でふたりの歯を丁寧に包んで、それをフジの蔓で結び合わせた。
 そしてその上に沈香を乗せた。

「本当はもっと色々あるんだけどね。ヒ素とか要るんだ。でもわたしたちじゃ手に入らない物の工程は省いたよ」

 そういうと、席を立って、後ろのロッカーから習字のバッグと和紙を持ってきた。
 広げた子供服の上に和紙を広げて、隣で(すずり)に墨汁を入れた。
 そして最後に、和紙の上に文鎮(ぶんちん)を置いた。

「準備できたよ」

 安西さんが硯から顔を上げて、私を見る。

「本当にいいんだね? たったの二年だけだよ?」

 五年生の教室に、静かに響く安西さんの声。
 こんな時でも高く澄んでいて、まるでバイオリンのよう。

「……うん、いい。あと二年だけでも、声が聞けるなら」
「そう。じゃ、始めよっか」
「うん」