【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「宝探し、やってみないかい?」

 静かな夜の総合病院の廊下で。安西さんが静かにそう言った。
 お母さんも、安西さんのお母さんも、ほとんど同時に携帯が鳴って、それぞれどこかへお話しをしに行ってしまった。

「宝探し?」

 私はようやく呼吸が整ってきたところ。
 抱きしめてくれた手から離れ、長椅子にふたりで腰かけていた時のことだった。

「うん。ふたりでよくやったろ? わたしが今から教えるもの、全部持ってきておくれ。そしたらクリアだ」

 安西さんは、さっき言った通りいつも不思議なことを言う人だ。
 そんな安西さんが大好きだったし、私も似た境遇なので、そんな彼女の一面を受け入れることができて、いろんな遊びをしてきた。

 そんな安西さんが、宝探しをしようと言う。
 いったい、何を探せばいいのだろう。

 彼女はリュックから筆箱と自由帳を取り出した。
 何ページかめくる。

 書かれているのはいろいろな呪文に、魔法陣(まほうじん)、ふたりでやった本当に様々な「遊び」の数々。
 わくわくするものでいっぱいだ。

 真ん中の方に、何も書いていないページがあった。
 安西さんはそこに、さらさらと、五年生には見えないきれいな字で文字を書いていく。

 箇条書き(かじょうがき)で、ひとつづつ。
 宝探しの品だろうか。

「イチゴとハコベラの葉っぱ……フジの(つる)。この辺は裏山いけばあるね……沈香……沈香ってなに?」
「じんこう、って読むよ。インドのお香。あさぎの家はお寺だから、必ずあるはず」
「うんうん。……子供のころに着てた服……」
「赤ちゃんのころからだよ。なるべく多く、頼む」

 安西さんはまだ書いていく。

「子供のころに抜けた……歯? 無いよう、そんなの」
「いや、絶対にある。さっきあさぎの『中』をのぞいた。おじさん、とっていたよ。一本づつ。これがいちばん大事なんだ。可能な限りたくさん集めてきてくれ。これで全部だよ」

 私はその宝探しの目当ての物──もとい材料一覧を眺めていて、ふと、疑問が浮かんだ。

「でも、そんなの集めてどうするの」

 当然と言えば当然の疑問を投げかけると、安西さんは答える。

反魂術(はんこんじゅつ)って知ってる?」