「にひひ。ボク、えっちだね!」
「うわぁ!」
振り向くと口裂け女さんが真後ろに立っていた。
「え、あれ、写真の中にいたんじゃないの?」
「ふっふーん、あたしは妖力強めだからサ、多少は歩き回れるんだよーだ」
真っ赤なワンピース。
腰まであるながい黒髪。
白いリボンが可愛い麦わら帽子。
花のチャームがおしゃれな白いサンダル。
今みたいにマスクをしていれば、お化けになんて見えない、本当にきれいなお姉さんだ。
「ね、ちょっとだけ、あたしに付き合ってよ」
「う? うん……」
別に夏休みの宿題全部終わったし。
家に帰ってもまだ誰もいないし。
「やったー、あお君とデートだねえ!」
僕より年下の女の子みたいに、ぴょんぴょんはしゃぐお姉さんを見ていると、なんだか拍子抜けして、ほっこりしてきた。
「そんなにうれしいの?」
「当り前じゃない、大好きな男の子と──」
え。
今なんて?
「……違った。大好きな男の子に『そっくりな』子と、だったねえ」
そういうと、口裂け女さんは僕の手を取って歩き出した。
◇
「ついたついたー」
他愛もない会話──たとえば普段きぃ子ちゃんと何しているの、とか学校の事とか──をしていたら、口裂け女さんが目的地の到着を宣言した。
あかねざか びょういんまえ。
「あーあー、こんなにボロボロになっちゃって」
口裂け女さんは錆びだらけのバス停を、愛おしそうに撫でた。
「もうあれから四十年経つのかあ」
「え、口裂け女さんそんなに年上なの?」
「瞳、だよ」
口裂け女さんは恥ずかしそうに、下を向いてそう告げた。
「あたしのほんとの名前。ここの病院で──死んだんだ。四十年前に」
「病院……」
僕はバス停の裏の藪をのぞいてみるけれど、何かあるようには見えない。
「おいで、あお君。連れて行ってあげる」
「どこへ?」
「ふふ、あたしの、『家』にね」
◇
「うわぁ!」
振り向くと口裂け女さんが真後ろに立っていた。
「え、あれ、写真の中にいたんじゃないの?」
「ふっふーん、あたしは妖力強めだからサ、多少は歩き回れるんだよーだ」
真っ赤なワンピース。
腰まであるながい黒髪。
白いリボンが可愛い麦わら帽子。
花のチャームがおしゃれな白いサンダル。
今みたいにマスクをしていれば、お化けになんて見えない、本当にきれいなお姉さんだ。
「ね、ちょっとだけ、あたしに付き合ってよ」
「う? うん……」
別に夏休みの宿題全部終わったし。
家に帰ってもまだ誰もいないし。
「やったー、あお君とデートだねえ!」
僕より年下の女の子みたいに、ぴょんぴょんはしゃぐお姉さんを見ていると、なんだか拍子抜けして、ほっこりしてきた。
「そんなにうれしいの?」
「当り前じゃない、大好きな男の子と──」
え。
今なんて?
「……違った。大好きな男の子に『そっくりな』子と、だったねえ」
そういうと、口裂け女さんは僕の手を取って歩き出した。
◇
「ついたついたー」
他愛もない会話──たとえば普段きぃ子ちゃんと何しているの、とか学校の事とか──をしていたら、口裂け女さんが目的地の到着を宣言した。
あかねざか びょういんまえ。
「あーあー、こんなにボロボロになっちゃって」
口裂け女さんは錆びだらけのバス停を、愛おしそうに撫でた。
「もうあれから四十年経つのかあ」
「え、口裂け女さんそんなに年上なの?」
「瞳、だよ」
口裂け女さんは恥ずかしそうに、下を向いてそう告げた。
「あたしのほんとの名前。ここの病院で──死んだんだ。四十年前に」
「病院……」
僕はバス停の裏の藪をのぞいてみるけれど、何かあるようには見えない。
「おいで、あお君。連れて行ってあげる」
「どこへ?」
「ふふ、あたしの、『家』にね」
◇

