「やった、終わったー!」
んー。背伸びをひとつして、僕は夏休みの宿題に勝利宣言をした。
ふう、二時間半もかかったぞ。
時計を見る。
夕方五時十五分。
さて、今日もきぃ子ちゃんとこに行こう。
……あれ?
気が付くとお化けたちは写真に戻っていた。
「まったく、遊ぶだけ遊んで……」
そうぼやきながら、床に散らばったたくさんの写真を拾い集めてると。
「みんなサ」
急に後ろから声をかけられて、ものすごくびっくりして振り返る。
声をかけてきたのは口裂け女さんだった。
「妖力の低いお化けたちだから、あんまり外に出てられないんだよ」
「びっくりしたよ、お化けかと思った」
「ふふふ」
口裂け女さんはなんだか寂しそうに笑った。
「お化けだからね……今は」
「今は?」
僕はそこが少し気になって、問いかけた。
「ボク、サ。一緒にお姉さんとお散歩しない?」
「えー」
僕は反射的に渋った声を出す。
「これからきぃ子ちゃんに会うんだけど」
「うん……そか、そだったね」
口裂け女さんはにっこり。
笑顔で答えた。
◇
「あー、楽しかった!」
「ふふ、今日のきみは冴えてたね」
きぃ子ちゃんが笑う。
「いつもでしょー。いつも僕は勝負に強いのー」
「はいはい、可愛いやつめ」
二歳年上のお姉ちゃんはくしゃくしゃと僕の髪をなでる。
鳥辺野神社の前。
きぃ子ちゃんと別れる所だ。
あーあ。もうここにきてしまった。
きぃ子ちゃんと別れるのは毎回とてつもなく寂しい。
山に夕日が沈む。
ふたりの長い影が見えなくなっていく。
「じゃあ、ね」
きぃ子ちゃんはとんとんと階段を上っていく。
あ。
意図せず、本当に意図せず見えてしまった。
今日は白かあ……。
んー。背伸びをひとつして、僕は夏休みの宿題に勝利宣言をした。
ふう、二時間半もかかったぞ。
時計を見る。
夕方五時十五分。
さて、今日もきぃ子ちゃんとこに行こう。
……あれ?
気が付くとお化けたちは写真に戻っていた。
「まったく、遊ぶだけ遊んで……」
そうぼやきながら、床に散らばったたくさんの写真を拾い集めてると。
「みんなサ」
急に後ろから声をかけられて、ものすごくびっくりして振り返る。
声をかけてきたのは口裂け女さんだった。
「妖力の低いお化けたちだから、あんまり外に出てられないんだよ」
「びっくりしたよ、お化けかと思った」
「ふふふ」
口裂け女さんはなんだか寂しそうに笑った。
「お化けだからね……今は」
「今は?」
僕はそこが少し気になって、問いかけた。
「ボク、サ。一緒にお姉さんとお散歩しない?」
「えー」
僕は反射的に渋った声を出す。
「これからきぃ子ちゃんに会うんだけど」
「うん……そか、そだったね」
口裂け女さんはにっこり。
笑顔で答えた。
◇
「あー、楽しかった!」
「ふふ、今日のきみは冴えてたね」
きぃ子ちゃんが笑う。
「いつもでしょー。いつも僕は勝負に強いのー」
「はいはい、可愛いやつめ」
二歳年上のお姉ちゃんはくしゃくしゃと僕の髪をなでる。
鳥辺野神社の前。
きぃ子ちゃんと別れる所だ。
あーあ。もうここにきてしまった。
きぃ子ちゃんと別れるのは毎回とてつもなく寂しい。
山に夕日が沈む。
ふたりの長い影が見えなくなっていく。
「じゃあ、ね」
きぃ子ちゃんはとんとんと階段を上っていく。
あ。
意図せず、本当に意図せず見えてしまった。
今日は白かあ……。

