【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「おそーい」

 きぃ子ちゃんが、吊り目をさらに吊り上げて、ほっぺたを膨らませてる。
 でも、時々こうやって年齢より幼く、同い年くらいに見える感じがするところも、最高にキュートなんだよなあ。

「十二分、遅刻」

 おおっと、本人は思ったよりもご立腹のご様子。

「ごめんごめん」

 ここは素直に謝って、それからヨイショして……。
 あ。

「?」

 きぃ子ちゃんが、細い左腕に巻かれた腕時計を見てる。
 キャメルのベルトと金の縁が可愛い、きぃ子ちゃんにしては珍しい女の子っぽい時計だ。

 文字盤に可愛い十字架(じゅうじか)模様が描いてある。

「……何だい?」
「あ、いや、可愛い時計だなって」

 あれ、その時計。
 その模様。
 前にどこかで──。



「じゃーん」
「うわあ」

 ■■ちゃんは、これでもかと左腕を見せびらかしてくる。
 大人っぽいその時計を見て、僕は目を輝かせる。

「可愛いね、■■ちゃん」
「でしょー。ここがいいのよね」

 そういうと、十字架型のロゴを指さした。

「高くなかったか」

 お父さんが聞く。

「うん、まあね。けど、お小遣い貯金した!」
「ね、ね、いくらしたの?」

 僕が食いつくと、■■ちゃんは鼻高々に笑った。

「ないしょ! ある人とお(そろ)いなんだ! 私の誕生日だからって言って、お揃いで買ったの」
「誰と?」
「さあて、問題です、誰とでしょう」
「えー、わかんないなあ、誰とー?」

 ふふ。■■ちゃんは笑って答えない。

「ねえ、誰とー?」



「──君」

 あれ?
「あお君ってば」
「ああ」

 いつの間にかぼうっとしていた。
 何か、大切なことを思い出しそうになった気がしたけど、たぶん気のせいだよね。

「はあ、大丈夫なのかい? ほら、行くよ」
「あ、うん! 今日は何して遊ぶの?」
「ふふ、今日はね、なぞなぞ遊びだよ」

 お、なぞなぞかあ。
 どんな問題が出るんだろう。
 誰とやるんだろう。

「さあて、問題です、誰とでしょう」

 わくわくするなあ。