【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「だめだよ、あさぎ」

 その子は、抑揚(よくよう)のない口調で言った。

「あの術は反魂術。呼び戻すためには必ず(にえ)がいるんだ」
「わかってる……もちろんわかってるよ」

 あさぎと呼ばれた「私」は食い下がる。

「だから今回もわたしが負けさえすれば」
「だめよ、それはだめ」

 静かに、落ち着いた口調で「私」は告げる。

「私の命を、贄にするの。それで、おしまい」



 夏の夕暮れ、神社の境内。
 セミが、しゃわしゃわ鳴いて耳をくすぐる。
 熱を帯びた風が、ほっぺたをなでる。

 そこに、子供たちの声がひびく。
 全部で十二人。
 とてもにぎやかだ。

 でも、この中でヒトであるのは僕ときぃ子ちゃんのふたりだけ。

 一つ目小僧たちはじつに上手にボールを投げる。
 僕ら人間と何ら変わらない。
 だからとても楽しかった。

 ううん、ひとりねらいしてくる、たけるたちなんかよりよっぽど良かった。
 と、思っていたら。

「いたっ」

 ちょっぴり太った、三つ編みの一つ目小僧の女の子が当てられて外野に出る。
 あれ?
 この子、さっきも当てられていなかっただろうか。

「えへへ、また当たっちゃった」

 その子は外野に出ると、しゃがみこんでしまった。
 どうやら、ドッヂボールはそんなに上手ではないらしい。

 その後もいくつか試合を進めたが、いちばん最初に当てられるのは、やっぱりその子だった。

「おいー、お鈴、またかよー」
「しょうがないよ、お鈴はどんくさだからさ」
「そうそう、どんくさ、どんくさ」
「えへへ、ごめんねぇ」

 そして次の試合。始まって十秒でお鈴と呼ばれたその子に当てられた。

「ごめん、ごめん」

 明らかにひとりねらいされているのに、お鈴ちゃんは寂しそうに笑うだけ。
 なぜだか、どうしてだか。
 無性に腹が立った。

「やめろよ、ひとりねらいばっかり!」

 僕は大きな声で相手チームの一つ目小僧たちに叫んだ。