【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 ミーンミンミンミン──……。

「これは……」
「これは?」
「その……違う……」

 ……終わった。

 そう思ったね。
 嫌われた。
 ヘンタイだと思われた。

 大好きな、世界でたったひとりの大好きなお姉さんを失った……。

 羞恥心(しゅうちしん)と、罪悪感(ざいあくかん)と、劣等感(れっとうかん)と、喪失感(そうしつかん)と。
 様々な感情でぐちゃぐちゃになっていた、その時。

 きぃ子ちゃんは倒れたまま、僕を見上げて優しく頭をなでた。

「あお君はいい子だね。辛抱強いね。いい子だね」

 いい子だね。いい子だね。きぃ子ちゃんは何度もそう言ってはなで続けてくれた。

「うう……うううああ……」

 僕は、優しい、優しいこのお姉さんの胸に顔を埋めて、泣き続けたんだ。
 そう言えばこの感じ、昔どこかで。
 いつだっただろう、同じように誰かに、こうしてなでてもらっていたような気がする。



「ふふ、もう大丈夫かな?」

 五分くらい、胸を借りて涙を零しただろうか。
 きぃ子ちゃんはその間ずっとなでてくれていた。

「うん、ありがとう……」
「さ、おいで、お友達と遊ぼう」

 そう言って彼女は僕を立たせると、境内へ続く階段を上り始めた。
 僕も後に続く。そこそこ大きな神社だけど、境内まではすぐに着きそうだ。

 そういえば、この神社。
 僕は知っているような気がする。

 階段の上では、子供の遊ぶ声が聞こえている。

「おーい、こっちこっち」
「パス、パス」

 境内に着いて見渡すと、子供たちがドッヂボールをしている。

「ねえ、きみたち」

 きぃ子ちゃんが声を掛けると、みな一斉にこっちを向いた。

 あっ。

 僕は声を上げる。
 ──みんな、目の玉がひとつしかないんだ。

「わたしたちも入れてくれない?」

 一つ目小僧たちは、集まってしばらくひそひそと話をした後、こちらを向いた。

「いいよ。入れてあげる」