【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

「ねえ、きぃ子ちゃん」

 太陽がすっかり落ちて、夜の(とばり)が下りた宵闇(よいやみ)の道。

「なあに」
「あさぎちゃんって、だれ? 寂しくないって、どういうこと? どうして泣かないでって、言うの?」

 僕はどうしても聞きたいことを、矢継ぎ早に問いかけた。
 きぃ子ちゃんはうつむいた。

 きらり。
 今、光ったのは涙だろうか。

「ねえ、教えてよ?」

 ぶおー。
 またしてもでっかいトラックがふたりの傍を猛スピードで通り抜けた。
 真っ黒な煙を吐き出しながら。

「……」

 おかげできぃ子ちゃんの声が聞こえなかった。

「ごほっ……え、えと、もういっかい……」
「ううん、なんでもない」

 きぃ子ちゃんは、そう言って笑った。
 どこか、寂しそうな顔で。



 君には、寂しい時って、あるかい?
 あるとしたら、それはどんな時が寂しいかな?

 お友達とさよならする時?
 お友達と会えない時?
 待っても待っても、そのお友達が来ない時?

 それとも。

 いつの間にか記憶から消えてしまって、後からそのことに気が付いた時?

 寂しいのはつらいよね。
 ひとりぼっちなら、なおさら。

 でもね、信じてみて。
 君を待っている人は、きっと今もいる。
 君がお友達を大切に思う心があれば、きっと。