【完結】きぃ子ちゃんのインスタントカメラ

 ぶおー。
 でっかいトラックがふたりの傍を猛スピードで通り抜けた。
 真っ黒な煙を吐き出しながら。

「──だよ?」

 おかげできぃ子ちゃんの声が聞こえなかった。

「ごほっ……え、えと、もういっかい……」
「ううん、なんでもない」

 きぃ子ちゃんはまた歩き出した。
 ぽかんとする僕の手を握って。
 とてもひんやりする、優しいその手で。



 二人は上町に入って、お寺のある方とは逆に進んだ。

「今日はね、連れていきたいとこ、あるんだよね」

 僕の間抜け面したインスタント写真を見ながら微笑むその顔は、誰かに似ている。

「私の大事なお友達のところ。おいで? あお君」

 あれはいったい、誰だっただろうか。

 ──今日はね、あお君を連れてきたいところがあるの。
 ──どこ?
 ──私の大事なお友達のところ。おいで? あお君。

「ねえ」

 僕は、前を軽やかに歩くきぃ子ちゃんを呼ぶ。

「前にも、こうして歩いたっけ」

 ──まってよう、あさぎちゃん。

「……あさぎ……って、だれ?」

 あはは。また年上のその子は笑った。

「ねえってば」

 でも、なぞ多ききぃ子ちゃんが、答えることはない。

「ほら、着いたよ。今日はだるまさんが転んだで勝負しよう」