「じゃあやってくかー!」

おおきな模造紙と粘土、絵の具を目の前にして担当メンバーが集まる。

袖をまくってやる気ありまくりの山根(やまね)くんを横にして、同じ部活で特に仲の良い唯音(ゆのん)と私たちもがんばるかーと絵の具を絞りはじめた。

しばらくみんなで集中して塗り広げていくと、騒がしい教室に聞き慣れている声が響いた。

「唯音と清菜いるー?部活のリハ行くよー!!」

チア部に所属している私たちは、文化祭の二日間とも演技をすることになっている。

私たちの教室にいるチア部は私と唯音だけだったみたいで、教室のドアの近くに学年代表の百合花(ゆりか)が立って呼びかけていた。

「今行くー!」

と元気な返事をした唯音についていく。

「ん?」

白い夏服仕様のブラウスの袖を誰かに引っ張られて振り返る。

「…って、関咲くん
どうしたのー?」

「橘花さん、行くの?」

「行くのって…部活だからさー」

「部活かー、がんばってね」

何かと思ったあー、
胸を撫で下ろしながら、ひらひら手を振る関咲くんに控えめに手を振り返す。

「うん、関咲くんもがんばって!」