先生の合図で、男子たちがスタートする。
最初から、紅野くんは先頭の集団にいた。
やっぱり速いなあ。フォームもきれいで、余裕そうに走っている。
周りからは、小さな歓声が上がる。
時間は思ったよりもあっという間に過ぎて、14分もかからないうちに紅野くんが1位でゴール。
「紅野くんって~」
紅野くんっ!?
さっきとは別の女の子からその名前が出る。
「運動神経いいし成績いいし、優しいしイケメンだし、スパダリだよね~」
スパダリ!?
……って、"スーパーダーリン"の略。なんでもできて包容力があるような人のこと、だよね?
たしかにそうかも、なんて。
4km走ってもまだいけそうな様子。私は無意識に目で追いかけた。
「あっ、柊斗2位だー」
すぐ隣でそんな声が聞こえて、グラウンドに視線を戻す。
碓水くんは、たった今ゴールしたみたい。
そのまま紅野くんのほうへ行き、並んで端の方を歩いていった。



