那智さんは、『え!』と驚いていたが、握られた両手に視線を落とし

「…私達は、あの時に終わっているわ。」

その言葉に、ガックリと肩を落とすアンタリアに

「でも…
人の心なんてどう変わるか分からないものよね。」

そう続けて悪戯っぽく微笑んでみせた。
するとアンタリアの顔が見る見るうちに高揚して笑顔になり

「そ、それって、
まだチャンスがあるってこと?」

握っている手に力を込めて言うと、『さぁ~』とわざとらしくそっぽを向くが、口元が緩んでいる那智さんに、『那智~!』とアンタリアが抱き着いた。

「ちょっ、ちょっと!」
と慌ててもがいて摺り抜けた那智さんは、凛の横に立ち、凛の頭を撫でながら

「とにかく!
二人に会いに来て。
何時でも歓迎するわ。

お忍びは得意でしょ?」

そう言って、ニッコリ笑った。