渋々教科書を渡した。 「ルーズリーフかノート貸せ。あとシャーペンも」 「…あ、はい…」 渡したシャーペンを受け取って、栗山くんは紙にすらすらと公式を書いていく。 その横顔は、無駄に整い過ぎている。 滅多に表情が変わらないクールなところも、意地悪な性格も昔のままらしい。 でも頭はいいし、顔は天使みたいに可愛かったし、女子からの人気はすごかったっけ。 今は顔のラインはすっとしていて、あの頃の幼さはない。 すっかり凛々しい男の人だ。