双子の「無能な方」だから生贄にされたはずが、竜族の花嫁として迎えられました

「どうして止めるの。一応、手順は頭に入ってるので大丈夫ですよ」

「だめだって。本当に自制が効かなくなってしまう。っていうか、手順なんてどこで覚えてきた」

「本で読みました。ラグノリアでは、恋愛小説が流行っていたんですよ。初夜でどんなことをするのかも、しっかり予習済みです!」

 いつも妹のマリエルが持ってきてくれる本を、楽しみにしていたのだと話すと、イーヴは顔を覆ってため息をついた。

「随分と過激な本が流行ってるんだな。信じられん」

「ね、だから私に任せて。きっと気持ちよくなれるように頑張るから」

「ちょ、待て待て待て、だから服を脱がそうとするな……って!」

 再びイーヴの方に手を伸ばしたら、血相を変えて止められてしまった。

「どうして? もう我慢なんてしなくていいでしょう。本当の夫婦になりたいって言ったのはそういうことじゃないの?」

「いや、ゆくゆくはそうなれたら……とは思うけど、こういうのは段階を踏んでだな」

「段階?」

 首をかしげたシェイラを見て、イーヴは深いため息をついた。

「シェイラは初めてだろう。前にも言ったが初めての場合、女性は特に痛みや苦痛を感じることが多い。これでも、理性を失ってシェイラを襲わないように必死で耐えてるんだ。触られると、その……、我慢にも限界がある」

「私は別に、構わないのに」

「シェイラは小さいし華奢だから、乱暴に触れたら壊してしまいそうで怖い。傷つけたくないんだ」

 首を振って、イーヴは身体に篭る熱を吹き飛ばすかのように息を吐いた。そして、シェイラの身体をひょいと抱き上げるとベッドへと連れて行った。