後ろの席のヤンキーくんと甘いヒミツ



他ならぬ、善くんの頼みだから。しばらくの間は、私たちの交際はヒミツにするけど。


私は、いつかちゃんとみんなに話したい。


善くんは、私の自慢の彼氏ですって。


善くんはちょっと強面で、ケンカだって強いけど。


かっこよくて、優しくて。お菓子作りがとても上手で。


カフェ巡りが趣味だったり、緊張するとすぐ顔が赤くなっちゃうような……。

そんな可愛いところもあるってこと、他のみんなにも知って欲しいなって思う。


「言っておくけど、いくら俺でもずっと交際をヒミツにしておく訳じゃねえから」

「え?」

「俺の、学校での悪いウワサがなくなるよう、これから努力して。彩音の彼氏にふさわしいと思ってもらえるような男になれたら……そのときは、きっと」


善くん……。


「善くんは、もう十分素敵な彼氏だけどね」

「彩音……っ!」


私は善くんのほっぺに、ちゅっと触れるだけのキスをした。


「ふふ。さっきのキスのお返し」

「それじゃあ俺は、お返しのお返し!」


誰もいない二人きりの教室で、キスをし合う私たち。


私がキスをすると、少し落ち着いていた赤みがすぐ復活して、また顔が真っ赤になっている善くん。


そんな素直で可愛い善くんのことが、私は本当に大好きです。


【完】