お菓子の国の王子様〜指切りした初恋は御曹司の溺愛プロポーズへ〜

えっ……
あの人、男性なの?


「だから俺たちは本当にビジネスだけの関わりなんだ。君に特別な婚約指輪を贈りたくて、圭衣ちゃんに相談した。アメリカの大学時代の友人を紹介してもらって。彼らも日本人で、卒業後に日本へ戻り自分たちのビジネスを立ち上げた。

もう一人の男性の方がこのホテルに入っているジュエリーショップのオーナー兼デザイナーの三輪紫道(みわ・しどう)くんで、俺と一緒にいたのが彼の恋人であるジュエリー職人の香月(こうづき)いよりくん。紫道くんは職人でもあるんだよ」


社長室の窓にもたれかかっていた雅さんが、ゆっくり歩いてきて私の隣に座った。少し間を開けて。


「今回指輪をオーダーした際、俺から特別なリクエストをしたんだ。この指輪を完成させるために俺自身がやるべきことがあって、思った以上に時間がかかってしまった。ごめんね」


雅さんは、私が彼との時間がなかったことに傷ついていると思っているの。確かに雅さん不足だったけれど、私が怒っているのはそれだけではない。


「……雅さん。私がどうして怒っているのか、どうして傷ついているのかわかる?」

「美愛ちゃんは、俺が浮気していると思ったんだろう?」

「雅さんから女性の香水の香りがしたのが嫌だった。他の人と腕を組んでいるのも嫌だった。でも、一番ショックだったのは……嘘をつかれたこと」


ハッとした表情の彼が尋ねてきた。


「もしかして、美愛ちゃんは遅くなる理由が嘘だって知っていたの?」

「知ったのは偶然だった。でもその後も平然と嘘をつかれ、何事もなかったかのように振る舞われて。正直、このまま結婚してもいいのかと考えてしまう」


彼は大きく息を呑んだ。


「俺が良かれと思ってしたことが、すべて裏目に出てしまったんだな。これを見てほしい」


彼は私にベルベットの箱を手渡し、開けるよう促した。