新月の天使

大丈夫、瀬那くんにはバレない……絶対に。


普通にすれ違えばいいだけ。


変に慌てたら余計変になっちゃう。



気持ちを立て直して、しっかり前を向く。



大丈夫、大丈夫……。



ゆっくり歩き出すと、瀬那くんも歩いているせいですぐに距離が近づく。


直前まで来たけど、全然気づく気配がない。



あれ、意外と簡単にいけるかも?


無駄に心配だったかな。





そして、すれ違う。



特に、何もなし。全然、いけた……。



ほっ……と密かに息をついた、とき。







「─────星那?」






ピクッ、と小さく方が跳ね上がった。



………え?なん、でわかったの?


できるだけ自然に振る舞ったし、見た目だって全然違う。


なんで、わかったの……?



って、ダメダメ。


相手はまだ私に確信してるわけじゃないんだから、普通に無視すればバレない。



そのまま歩き続けると、




────ブブブッ。ブブブッ。




ポケットの中が震えた。


学校用の……スマホ?


立ち止まって、ポケットからスマホを取り出す。






「………!」





瀬那くんから……電話だ。



驚いて、思わず瀬那くんのいる方向を見てしまう。


すると、瀬那くんも私のことを見ていたのか、バチッと目が合った。



あ………。終わっ、たな……。


完全にバレたかも。





「星那」





ゆったりとした歩き方さで近づいてくる。