新月の天使

「いらないなら………さ、私にちょうだいよ、家族」


「は………?」




家族をちょうだい……?


星那は、苦しいような、切ないような顔をしている。


星那のこんな表情を見るのは初めてだ。


いつも笑ってて、俺がどんなに冷たくしても、笑顔で許す。


それが、コイツだった。


でも……今は違う。


苦しそうなのに、真顔で。全てが、闇の中のような。




「どうしようもない人たちっていると思うよ。でもさ、いない側からしたら羨ましくてたまらないんだよ、家族が。どうしようもなく、羨ましくてたまらない」





っ……。羨ましくて、たまらない……。


そんなこと、一度も考えたことなかった。


ただただ、自分のことしか考えていなかった。


でも、星那の言う通りどうしようもない人もいる。




だけど────────俺はどうだ?




俺の家族は、最初からあんな風だったか?



答えは N O だ。



最初、両親はずっと厳しかったけど、俺に笑いかけてくれていた。


多色だって、もっと小さいときはよく「遊んでー」と後ろをついてきてた。



つまり………また、変えられる。



一度存在した心は、取り戻せるはずなんだ。





「つ、つまり……私が言いたいのはね、余計なお世話だけど……親がいない人からすると、どんな人でも親がいること自体が羨ましいというか……」