新月の天使

それが何だか気になったし、元々家に帰るつもりはないから時間も余ってる。

時間潰しにいい……か。



俺はさっき浮島 瀬那が叩いた椅子に座った。




『実はさー、俺達から風宮に話したいことがあるんだよね。……結構時間かかるけど、いい?』


『ああ。大丈夫だ』




俺が返事すると、水口 遥が口角を上げ、チラリと浮島 瀬那にアイコンタクトを送った。


それを合図に、浮島 瀬那が足を組み直し、話し始める。




『本当はすぐに本題に入りたいが……まずは自己紹介からしようと思う』


『だね、まず俺から。水口 遥でーす。学校では" 問題児 "なんて言われてるけど、違うからね?……遥って呼んでー』



『浮島 瀬那だ。俺も………問題児、じゃない。瀬那って呼んでくれたらいい』




遥と……瀬那。学校に、この2人を下の名前で呼ぶのはきっと俺だけだな。


それは……なんだか面白いかも。





『風宮 十色。十色って呼んで。よろしく、瀬那。遥』


『ああ』


『もちろん、よろしく』





笑いかけてくれる2人に、嬉しさが込み上げる。


俺は……御曹司という理由で人が寄ってきていたけど、友達になりたいというやつは誰一人いなくて、友達がいなかった。


まだはっきりと2人のことを友達とは言えないし、言えることがないかもしれないけど……友達になりたい。


そう、自分の中でしっかりと思えた。




『てことで、本題に入る。瀬那、よろしく』