新月の天使

護衛をつけられていても、俺の身を守りきれない時がある。


その時、俺自身が自分の身を守れたらいいということで、空手と合気道を習わされていた。


そのおかげで、唐突に殴られて驚いたけどその場に立ち続けられた。



けど、驚きとショックで反射的に多色を殴り返してしまった。


まずいと思ってすぐに謝る。……が。



『あ……ごめ、』


『なっ……、何すんだよ、テメェ!!!!!』




案の定怒って掴みかかってくる。


けど、体術なら俺のほうが上。


すぐに多色を抑え込めることに成功。




『クソクソクソクソクソ!!!くそっ……。なんで……、なんでいつもお前なんだよ……!やっぱり一つでも上の方がいいのか!?……どうなんだよっ、』




ついに、多色は泣き出してしまった。


こんなことは初めてで、どうしたらいいのか全くわからない。


俺は多色を抑えていた手を離した。


すぐにどこかへ行くかと思ったが、意外にも動かずそのまま泣き続ける多色。


まだ小学生だった俺達だったけど、周りよりは遥かに大人びていたと思う。




だけど──────────全然子供だったんだ。



多色の背中を撫でながら、どうしたのかと聞くと。


どうやら多色より俺のほうがかっこいいと言っていた女子が多色と同じクラスで………多色の気になっている人だったらしい。



なのに、自分より兄のほうがかっこいいと言われ………ということだった。