【 Side十色 】
俺の家は、父さんで三代目の大手企業。
俺はその跡継ぎだから、昔から常にいろんなものを強要されてきた。
勉強も、スポーツも、何もかも。
全て1番で有りなさい。沢山の人の上に立つに相応しい人になりなさい。って。
小さい頃は頑張った。両親の期待に応えたくて、放課後は誰とも遊ばず家に直行して勉強・勉強・勉強。
ときに運動もして、体力が落ちないようにした。
努力のおかげで、常に勉強もスポーツも1番だった。
だけど………1番を取れば取るほど、両親の期待も大きくなっていった。
少しでも成績を落とすと大激怒。
ちょっと周りとバカやっても大激怒。
「貴方は周りとは違うのよ」って母さんは言ったけど、当時は周りと自分、何が違うのか分からなかった。
そんな俺には、一歳年下の弟がいた。
弟も両親にいろんなものを強要されていたけど、俺とは全く違った。
俺より何倍も要領がよくて、勉強も教科書を一通りみたらほぼ暗記。
運動も、それなりにやったらなんでもできた。
女子にも優しくて、人望も厚かった。
だけど、学校で弟と2人で廊下を歩いていたとき。
俺達がいることに気づかなかった女子の会話がたまたま聞こえてしまった。
思えば………この時はまだ弟に慕われていたのかもしれない。
『風宮兄弟って、ホントかっこいーよね!』
『ねっ!二人とも成績優秀。弟のほうが女子には優しいけど』


