新月の天使

なるべく人がいない道を通って、街を歩き回る。


……ここだ。


着いた場所は、ボロボロで街の角にある廃倉庫。


中からは微かに人の話声が聞こえてくる。


もう取引は始まっているのかな……?


今回は、それなりに大きい族の取引だから時間がかかりそう。


まずは人数を確認しないと……。


倉庫の裏側に回ると、窓を見つけたのでこそから入る。


そこは小さな部屋で、特に何もなかったので部屋を出てメインの部屋へ向かう。


通路には、いくつもの工具が落ちていた。


「確か元々、ホームセンターの備品を仮置きしていた場所だったっけ」


情報屋が言っていた気がする。


すごく人気のホームセンターがあって、店だけじゃ備品を置ききれないから倉庫を作って、ここに備品を仮置きしていた……だったかな。


まぁいいやと先に進む。


少し進むと半開きになったドアがあり、そこから声が聞こえてきた。




「今日は新月だ。必ず闇月が現れる」


「ああ、そうだな。話によればすげー美人らしいし、何より色んな族が探してる。捕まえたらやべぇことになるぜ」




私が目的……か。


ざっと見た感じ100人くらい。


それくらいなら全然いける。この暴走族も……解散させてやろう。


……って、思えば薬なんてどこにもない。


ここから死角になっているところにあるかもしれないけれど、会話を聞いている感じ薬の取引なんてなさそう。


でも、情報屋は確かに言っていた。


薬の取引があるって。