新月の天使

「お引越し?」


お引越しとは、確か……新しい家に住むこと。


当時の俺はそう認識していた。


ということは……


「もう会えないの?」


「そんなことないよ。瀬那がもっと大きくなったら、会いに行ってあげてね」



母親はそう言うと俺を抱きしめた─────。




*    *    *    *


母親にああ言われてから数年。


俺は中学生になり、暴走族の総長をやっていた。


親父が警察官で、最近、一部の暴走族の間で"薬"の取引が行われているそうで、そいつらを捕まえるために同級生から仲間を集め『青藍』という暴走族を立ち上げた。


活動を続けて約1年強。


暴走族だけど、無駄な喧嘩はしないという契約で後輩なども加入し、気づけばNo.1になっていた俺達。


だがある時、俺達と似た活動をしている人物が現れた。


名前は闇月。


正体不明の謎の人物。


ただわかっていることは1つだけ……。


それは、超美少女だということ。


普段は顔を隠している闇月だけれど、ある拍子に顔が少し見えたことがあるらしく、その顔を見たものは全員、「美しすぎる。思い出せないが、物凄く綺麗だった」と語ったらしい。


まぁ、実際に見たことはないから綺麗かどうかなんて一ミリもわからないが、笑優より綺麗な人なんて居ない。


そう、断言できる。


笑優……きっと、すごく綺麗になってるんだろうな。


4歳の時にあの容姿だったら、今はもっと綺麗になっているはず。