新月の天使

サッサと用件を終わらせてもらおう。



「あのっ、わ、私に何か用ですか?」



下を向いて、スマホを握りしめながらボソボソと言う。



「………スマホ、貸して」



沈黙が落ちる。



「……………………へっ?」



そして、私の口から出たのはそんな間の抜けた声だった。


思いも寄らない言葉に、思わず顔を上げてしまった。


う、わ………。思ってたよりも、近い……!


ていうか、こんなに近くでしっかりと見たのは初めてかもしれない。


いつも、席についている時は極力そっちを見ないようにしていたから、こんな近く、ましてや真正面から見たのは初めてだ。


すごい綺麗な顔……。


シュッとした顎のラインに、高い鼻。形のいい唇。


全てのパーツが彼を引き立たせている。


じっ……と見つめていると、彼の眉がギュッとシワを寄せた。


それを見て、我に返った。


す、スマホ貸してって言われてたんだった……!


スマホって、今私が手に持って方……だよね。


これは……貸せない。


貸したら、盗聴アプリとか入れられそう。


そんな事になったら、私の情報全てが持っていかれる。


闇月ということもバレてしまう。