新月の天使

そんな事になったら困るから、嘘をついたんだ。


でも、そんな事言えないから……。




「ちょっと思うことがあっただけ。気にしないで」


「そうか……。でも、他にも理由、あるんじゃないか?」


「……っ、え?」






確かに、それだけの理由じゃない。


十色くんにあんな事を言っちゃって……どうしても気まずいんだ。



十色くんは瀬那くんに助けてもらってすごく感謝してるみたいだから、瀬那くんが連れてきた私を追い出すなんてことはないだろうけど、若干気まずさを感じちゃう。



私が黙っていると、瀬那くんがゆっくりと口を開いた。







「十色のこと?」



「……え、」


「図星って顔してる」






なんで知ってるんだろう。


十色くんの話題なんて出してないのに。





「十色、ここ1週間……つまり、星那が来なくなった前日から、ずっと機嫌がいいんだ」



「え?」






ああ……私、さっきから「え」しか言ってないよ。


でも、それほど衝撃なものが多いんだ。





「あの日、星那が急いで帰っていった日からずっと嬉しそうに笑ってた。だから、星那が関わってると思った」



「……正解だよ。あの日、十色くんの家の話を聞いたんだ。それで、ちょっと余計なこと言っちゃって」



「余計なこと?」


「うん」


本当に、失敗したな。

あの言い方だと、私に親がいないことになっちゃうのに。