新月の天使

そして、私の前で立ち止まった。



「瀬……那、くん」




ハメられたんだな、私。


ここで瀬那くんが電話した瞬間に私がスマホを取り出したから、確信がついたんだ、きっと。




「なんで、星那がここにいんの」


「あ、はは……」




苦笑いしか返せないな。



「と、とりあえずこれだけお会計してくるね」




カゴを少しだけ上げて、アピールする。




そして、レジに並んだ。







*    *    *    *



「それで?その格好は何?今日、体調不良なんじゃねぇの」




レジを済ませて、帰り道。


なんと、スーパーの袋を全部持ってくれた瀬那くん。


……問い詰められてるけど。




私は今日、青藍に「体調不良」とメールした。


けど、変装してこんなところで買い物してるから、不審に思われて当然だよね。





「まぁ、いろいろあって。嘘ついてごめんね」




ここは、正直に謝るのがいいよね。




「それより、どうして私ってわかったの?髪色も、メガネもしてないのに」



「匂いでわかった」


「……へっ?」





に、匂い……!?





「ど、どういう事?」


「星那って、いつも柔軟剤のいい匂いするんだよな。……あ、言っとくけどいつも星那のこと匂ってるわけじゃないからな。匂ってくんの」





じゅ、柔軟剤……?


確かに、私はこの柔軟剤の匂いがお気に入りで使ってるけど、そんなに匂うかな?