奥から〝大問題やろ!〟と聞こえてきたけど、確かに断る理由はないかもしれない。
長谷 律に心を動かされて、目の前で大きく腕を広げられている。
男性にもトップアイドルにも耐性がついていないけど、好きと気付かされた今、飛び込んでみたい欲望はある。
顔だけ向いていたのを、控えめに体を右に捻ってみた。
ニコッと笑った顔を最後に、私の視界から長谷 律が消えて体には温もりを感じた。
グッと体重をかけてきたから、バランスを取ろうと腕に手を回す。
見た目は華奢だけど、腕の太さは並の男性の太さで、私の体がすっぽりと包み込まれてしまう。
「茜音ちゃん、小さくて可愛いね」
「か、可愛くないです…。可愛いとかも言わない方が良いですよ?」
「だから。茜音ちゃんには本気で言ってるって」



