心が解けていく





またね、か。


トップアイドルにまた会うなんて、全人生の運を使い果たすようなもの。



ただの挨拶だとしても、アイドルは庶民に〝また〟とは言わない方が、身のためだぞ…。と、消えていく背中に無言で語りかけた。




一人テーマパークは、案外楽しいものだった。


たまたま一人だったのかは置いておいて、他にも一人で来ている同志も見かけたし、何も仲間を必要としなくても生きていけることが分かった。

時々、寂しくなるけど。





テーマパークから帰る電車の中、携帯の検索を押して〝長谷 律〟と入力すると、出てくるのはキラキラと輝いている、さっき偶然出会った人とは全然違う雰囲気の男性。


芸能人でも、あんなにオーラって消せるものなんだな。



こうやって電車に乗っていても、目の前にいる人が芸能人かもしれないと思うと、のほほんと携帯を見ていられないと、画面を暗くして電車の中を見渡した。