カウンターから顔を出したのは、牛肉のすじ煮。
上には白髪ネギがたくさん乗っている。
さっき切っていたのはこれだったのか。
帽子を取ってカウンターから出てくると、私の右隣に腰掛けて割り箸を一つ取り、何切れか残っているほっけに手をつけた。
「俺もお客さんや。さ、いっぱい喋ろ。何でも聞いたるから」
「…ありがとうございます」
ご飯をご馳走になった後、舞台に招待してもらったは良いけど、自分なんかが長谷 律と対等に関わって良いのか、気持ちが分からなくなった経緯をだらだらと話した。
大将は途中、口角を上げながら〝へー〟とだけ相槌を打ってくれていたけど、その意味深な笑顔はやめてほしい。



