心が解けていく






自宅の最寄駅より二つ前の駅で腰を上げ、久しぶりの二度目の景色を懐かしむ。


驚くばかりでちゃんと見ていなかったけど、二駅違うだけなのに賑やかさがまるで違う。



車や人の通りも激しいし、芸能人が一人紛れていても気づかないほど。




その賑やかさの外れの雑居ビル。


久遠の暖簾を両手で払うと、カウンターでサラリーマン二人がお酒を酌み交わしていた。



定時上がりでアルコールを体内に染み渡らせる至福、頬も緩みまくっている。





その向こうに、体全体で軽やかにリズムにのる大将が居た。

ガラガラと開く扉に、一呼吸置いて大将が顔を上げる。