「会いたいな…。今何してるんだろ」 仕事が終わって椅子の背もたれに頭をあずけながら、ふと声に出た。 私、長谷 律に会いたいのか? 自分の気持ちと言葉が噛み合ってなくて、よく考えてみる。 「どうしたの藤波さん。惚気ないでよ」 「惚気、ですか?そんなことしてないですよ」 「今会いたいなとか言ってたじゃん。そういうのはちゃんと彼氏にぶつけないと、寂しがっちゃうんじゃない?」 「彼氏なんて居ないです!」 「じゃあ…好きな人だ」 好きな人。いやいや。 長谷 律は好きな人じゃない。多分。