少しばかり贅沢をしすぎた。普通の生活に戻っただけ。
そう頭に叩き込みながらも、ふらっとどこかで偶然に会えないかと、意味もなく商店街を歩く自分が、恋をしている新規ファンのよう。
元々興味はなく、有名な人だと知っていた程度。
テーマパークに行っていなかったら、骨付き肉を食べていなかったら。
そんなことが次々と重なって今、私の心が動こうとしている。
テレビの向こうの人、手の届くはずのない人。
でも素の長谷 律を知っている。
行きつけのお店があって、心を許せる大将が居て、そこでは芸能人は抜きにして人間の長谷 律として居られる。
嫉妬しやすくてすぐ拗ねる、子どものような人。



