彼は遠い存在の人。
たまたまテーマパークで出会って助けて、友達のような感覚でご飯をご馳走になったけど、本来は存在しているかすら分からない、近づきたくても一生叶うことはない人。
今日も助けてくれたお礼ということで招待してもらったけど、自分で応募して当落に感情を揺さぶられて、選ばれた人だけがようやくここに座れているのが普通。
長谷 律は芸能人で、私が友達なんて時空が歪む出来事だ。
もっと長谷 律に詳しい人は居て、私なんかその辺でたまたま骨付き肉を食べていただけ。
何も知らないからこそ、思い上がっていた。
芸能人と知り合えたなんて、頭の片隅で調子に乗っていた。
目を輝かせた、純粋な女の子たちを見れば、よっぽど私より長谷 律の友達に相応しい。



