笑顔が一番際立って見えて、ステージには数えきれないほどの演者が居るのに、私の目には長谷 律だけがずっと浮いて映っていた。
物語は順調に進んでいき、終盤になると女優さんが長谷 律に自分の恋心を話し始める。
「私…、あなたを思うほど苦しい。この気持ち、あなたに分かる?」
「僕だって同じさ。君のことが愛おしくて堪らない。ずっとそばに居てくれるなら…、そう願ってる」
「あぁ…。ようやくだわ。私、長い間焦がれてた。何を迷っていたのかしら」
両片思いだった気持ちが交わり、手を取り合う二人。
しばらく見つめ合うと、唇を寄せてキスをした。
舞台にはよくある展開。ドラマでも、こういうシーンは何度も見てきた。



