「…茜音ちゃん、帰ろうか。だいぶ長居しすぎたし、俺も明日のスケジュール変わったみたいだし、朝早いんだ。送るよ」
「あ、はい…。ありがとうございます」
忙しなくお会計を済ませると、〝また来るわ〟と小声で大将の目も見ずに伝えて、出て行ってしまった。
「大将、ごちそうさまでした。ご飯、どれも美味しかったです」
「口に合って良かったわ。…さっきの律やけどな、動揺してるから。よろしく頼むね」
「よろしくって…。あの、大将。さっきの、よく分かんなかったんですけど…」
「茜音ちゃんに気があるってことや。じゃなかったら、あんなに優しくせんよ」



