突然提案された同棲だけど、そういう突然に乗ってみるのも、律くんと一緒なら良いかも。
ちゃんとプライベート空間も作ってくれるとなると、そろそろ断る理由がなくなってきた。
「…お言葉に、甘えても良いですか?」
「もっと甘えても良いくらい」
「ふふっ。ありがとうございます。じゃあ引っ越しちゃおうかな」
〝良かった!〟と律くんが歯を見せて笑い、私も一緒に笑った。
ふと思い出して、携帯に入っていた連絡先から、友基を削除した。
「連絡先、消せました」
「うん。もし茜音ちゃんが望むなら、やるべきことをやるけど…、どう?」
「ううん。何もしなくて良いです。多分不貞腐れて暴れて、私に合わせる顔はないはずなんで。それに、この家とはお別れするから、悪い思い出も全部捨てていきます」
「俺との思い出は、持って行ってね?」
「それは大丈夫です(笑)」
何だか体もスッキリした気がして、昔の悪い癖を持った藤波 茜音は、もうここには居ない気がした。
律くんに甘える方向で話がトントン拍子に進み、アパートの解約から荷物の整理、律くんの家への引っ越しまで一ヶ月もかからなかった。



