友基の貧乏ゆすりは止まらなくて、〝もう終わり〟と話すと、途端に足を止めた。
そして私の部屋を見渡すと、突然立ち上がって冷蔵庫に向かい、冷蔵庫に貼ってある友基と旅行に行った時にお揃いで買った、メルヘンなキャラクターのマグネットを剥がした。
こちらに戻ってくると、何故か目を充血させて笑っていて、そのマグネットを私に向かって投げてきた。
咄嗟に身を守ると、マグネットは私には当たらずに、コロコロと音を出して床に転がった。
「この部屋も変わった。全然茜音らしくない。可愛くない。…俺は終わってないからな。俺に指図したこと、後悔しろよ」
友基が家を出た後も、体の震えが止まらなくて、しばらく動けなかった。
自分らしく居られなくて、しんどいことはあった。
でも私が何も言わなかったからか、横暴な態度は一度もなかったし、あそこまで感情的になる友基は初めて見た。
あれが、友基の本性か。



