「ずっと苦しかった。私の好きなもの、全部否定されて。女の子なんだからって言うけど、他人の好みに口出しする権利、友基にあった?」
「…は?何言い出すの」
「私、パフェ嫌いなの。食べる前は胃薬飲んでた。帰ってきたら、一時間吐き続けてトイレから出られなかった」
胸のつかえが、段々と無くなっていく。
〝嫌だ〟
たったそれだけが言えなくて、苦しかった数年間。
この数ヶ月で、私は私らしく居られた。
友基は、メルヘンな雰囲気の可愛いスイーツのお店を見つけたから、今度一緒に行こう。
律くんは、ステーキの美味しいお店を見つけたから、一緒に食べに行こう。
今なら迷わずに、律くんについて行く。
私が塊肉好きって、友基は知らないでしょ?



