「茜音ちゃん、デザート食べる?」
「ありがとうございます…。あ、名前」
「律と話してるの、聞こえてしもた。ごめんね」
カウンターから出てきたのは、クリーム色のシフォンケーキにとろっとした生クリームがかけられたスイーツ。
「美味しそう…。いただきます」
ケーキは口に入れた瞬間、溶けて無くなってしまうほどのふわふわ食感。
甘さが控えられたクリームと相性抜群だ。
「昔からスイーツ作りが好きで、パティシエになりたかったんやけど、専門学校落ちて。結局割烹屋みたいなことしてるけど、スイーツには力入れて作ってるんよ」
「美味しいです。料理ももちろん美味しかったですけど、スイーツは見た目も味も本格的です」
「良かった。…今日は律に、振り回されたやろ」



