「ごめん、電話出てくる」 会社からだろうか。隠れるようにして奥の部屋へ入って行った長谷 律。 友達が一人も居ないと、誰かと居て一人になった瞬間にやって来る疲れは酷い。 この空間は楽しいけど慣れていないから、体の力を抜くために自然とため息が出た。 「疲れた?」 「あ、いえ」 大将にバレた。嫌な風に取られたかな。 「初対面の方と話したので、肩の力が入ってしまって…」 一応本当の理由を言ったけど、嘘っぽく聞こえなかっただろうか。 大将はニコッと笑って、私に一つ提案をしてくれた。