テーマパークでは、みんな魔法にかかっているかと思いきや、そういうアンテナはきっちり張っているみたい。
「ここは個室もあるから、人が居たら違う場所に通してくれるし、周りの目を気にせずに居られる。大将はそういうの、何も言わなくても感じ取ってくれんの」
「長谷さんの理解者ですね」
「うん。でもそれ言うと、あの人調子に乗るから言わないことにしてる」
「…聞いてたで」
「うわ。手動かせよ」
「動かしてますー。次の料理持ってきただけや」
厨房から大将が顔をひょこっと出してきたから、話は終わってしまった。
終始穏やかな表情をしていた長谷 律。
この場所は心底リラックスできて、素顔が出せる場所で、芸能人の心苦しさのような、この世界の闇を知れた気がした。



